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スペシャル対談 第2回

  • 5月18日
  • 読了時間: 6分

更新日:1 日前

総合メディカルグループ株式会社代表取締役社長 多田荘一郎氏対談


総合メディカルグループは、熊本大学との間に医療人材のアップデートを目標とする包括的連携協定を締結。同グループ薬剤師が熊本大学、熊本大学病院での臨床経験を積む“学びの場”を創設


日本の医療が直面する構造的課題の解決。総合メディカルグループは、この課題解決のために、 医療人材の育成と役割再定義を中核とした包括連携協定を熊本大学との間に締結しました。この協定は、病院完結型から地域・在宅まで切れ目のない医療提供体制への転換が求められる中で、「人材のアップデート」こそが最大のボトルネックであるという共通認識のもと、大学の高度医療・研究の知見と、地域医療の現場を熟知した企業の実装力を融合し、現場で機能する医療モデルを構築することを目的としています。


総合メディカルグループ株式会社代表取締役社長・多田荘一郎氏対談第2回は、熊本大学学長の小川久雄先生をお招きして、今回の包括連携協定の意義、日本の医療が直面する構造的課題解決のために必要な真の産学連携の在り方をテーマにお話しいただきました。

(構成:21世紀メディカル研究所 阪田英也)



総合メディカルグループ社長 多田荘一郎氏対談第2回

小川久雄先生 熊本大学学長 国立循環器病研究センター名誉総長


多田 小川先生とは、2015年8月に設立された会議機構「これからの循環器医療を考える会」を 創設する際にご尽力いただきました。それから10年余が経ち、今また、熊本大学とのご縁が出来たことに感謝しております。


小川 多田さんは、「これからの循環器医療を考える会」の創設メンバーであるばかりか、この会を創る発案者であったとお聞きしています。同会は循環器領域のアカデミアと医療産業のトップが忌憚なく意見交換できる場として発展していますね。


社会実装を可能とする産学連携を構築する取組み


多田 産学連携という観点で強く印象に残っているのが、小川先生が国立循環器病研究センター(国循)理事長時代に構築された「オープンイノベーションセンター」です。研究者・臨床医と企業が同じ場でデータや課題を共有し、社会実装を前提に議論を進めていく仕組みは、それまでの連携の在り方を大きく前進させるものだったと感じています。



小川 今は熊本大学で半導体関連の「オープンイノベーションセンター」を作りました。企業が集まってくれるか、少し心配しましたが、現在ほぼ満床になっています。国循では、北大阪健康医療都市(健都)の中心として、街づくりで多くの企業と連携し、健都近くにSuita Sustainable Smart Town をパナソニックと連携して作りました。また、JSRとは長時間心電計「Heartnote」を共同開発しました。そして熊本大学では、ダイセルとの協定などが産学連携の成果として挙げられますが、これらは企業のトップと直接話をしたことにより、スムーズに進んだと思っています。


多田 私自身、産学連携において重要なのは、初期段階でアカデミアと企業のトップ同士が目指す方向性をすり合わせること、そして実装フェーズにおいて、現場で試行錯誤を重ねていくことだと考えています。ハーバード大のクリステンセン教授の提唱するイノベーションの5つのDNAは、まさにそのプロセスを支えるものであり、小川先生の取り組みはその実践そのものだと感じています。


小川 ありがとうございます。熊本大学では企業との間に多くの包括連携協定を結んでいますが、特に留意したことは、実現力、そして発信力です。まず、産学連携の実現にはお金が必要です。国循理事長時代に、みずほ銀行副頭取と話しました。彼は「産学連携の実現には“産官学金”、すなわち銀行の力が不可欠」と言っていました。熊本大学では、地元の有力金融機関である肥後銀行、熊本銀行そして三菱UFJ銀行と包括連携協定を結びました。全国的なネットワークを持つ彼らとは、主に東京や大阪などの企業との橋渡しを中心に連携をしています。


もう1つ、発信力ですが、マスコミの力を借りて定期的な発信を行いたいと考え、既に結んでいた熊本日日新聞に加え、テレビ熊本、讀賣新聞と連携協定を結びました。テレビカメラにも入ってもらい、毎月、6~10社くらいのマスコミが入り学長記者懇談会を行っています。その効果もあってか、熊本大学の研究者59人が「世界で最も影響力のある研究者トップ2% (2024 年版)」にランク入りし、これは国内大学で16位、「全教員数あたりのランクイン数」で比較すると10位に上昇し、国立大では8位と発表したところ、朝日新聞が記事にしてくれました。


大学の知見と企業の実装力を融合する取り組み

多田 そしてこの度、総合メディカルグループとして熊本大学との包括連携協定を締結しました。 本取り組みは、薬局薬剤師が病院で学ぶにとどまらず、医療の在り方の変化に対応する基盤づくりです。高齢化に伴い併存症患者が増え、医療は疾患単位から患者単位へと変化しています。特に循環器領域では退院後の管理や再発予防が重要であり、病院完結型では対応が難しく、多施設・多職種連携が不可欠となっています。


小川 確かに医師にとって薬剤師は、大切なパートナーです。医療はチームで完結するもの、つまりは多職種連携が医師を支えています。かねてから私は、患者さんと直接接する臨床経験が少ない中で、薬剤師が薬局やドラッグストアに就職してしまうことが課題であると考えていました。この意味から、今回の総合メディカルグループとの包括連携協定は初めての取組みであり、非常に価値ある試みと考えています。



多田 総合メディカルグループは、入院中のアメニティや院内サービスを通じて患者さんと接点を持ち、退院後は薬局や在宅医療で再び関わることができる立場にあります。しかし現状では、その接点が連続した価値として十分に活かしきれていないという課題があります。今回の取り組みは、こうした分断をつなぎ、入院から退院後まで一貫して患者さんを支える仕組みを構築していくとともに、その中核を担う人材のアップデートを図るものだと考えています。


小川 大学、大学病院では、医師ばかりでなく病院薬剤師、看護師、その他コメディカルの人々と数多く接することになります。その経験からの“学び”だけでなく、臨床の場での人脈づくりが、総合メディカルグループの薬剤師の財産になると思います。また、今年から総合メディカルグループの薬剤師の受け入れが始まりますが、この第1期生が元の職場に帰り、自分の経験を後輩に伝えて社内教育に役立てる。そして、第2期生以降、この流れが連綿と続いていく。こうした好循環が生まれることが大切だと考えています。


第2回おわり。多田荘一郎氏対談 第3回に続く

 
 
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