スペシャル対談 第3回
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更新日:8 時間前
総合メディカルグループ株式会社代表取締役社長 多田荘一郎氏対談
総合メディカルは、地域の診療所、病院を対象に、 “企業ができること”、“企業がすべきこと”を実装力を持って支援。持続可能な地域医療実現を目標に「かかりつけ医」と協働。
第19代日本医師会会長として4期8年(2012年〜2020年)を務められ、第68代世界医師会会長(2017年〜2018年)を歴任された横倉義武先生。現在は、日本医師会名誉会長として、広く日本社会に医療改革の提言を発信されています。また、2022年3月からは、かかりつけ医の社会実装を目標とする「これからのかかりつけ医の在り方を考える会」会長として、持続可能な地域医療実現と新たな医療体制構築に注力されています。一方、総合メディカルグループは、長年にわたり地域の診療所、病院に対して、“企業ができること”、“企業がすべきこと”の提案と支援を継続し、その経験を活かして、地域医療における医療機関と企業の新たな連携基盤構築に取り組んでいます。
総合メディカルグループ社長・多田荘一郎氏対談第3回は、日本医師会名誉会長の横倉義武先生をお招きして、日本の医療制度の課題、地域医療とかかりつけ医の役割、持続可能な医療実現のための産学連携の在り方をテーマにお話しいただきました。(構成:21世紀メディカル研究所 阪田英也)

総合メディカルグループ社長・多田荘一郎氏 対談 第3回
横倉義武先生 日本医師会名誉会長
多田 横倉先生とは、京都大学の本庶 佑先生(2018年度ノーベル生理学・医学賞受賞者)が主宰されている医療政策の会議機構、21世紀医療フォーラムの医師会員、企業会員として、2015年にお会いして以来のお付き合いとなります。
横倉 そうですね。私が本庶先生とお会いしたのは、日本医師会会長になって1年後の2014年のことです。当時、本庶先生は時代の流れに合わせて、医師の在り方を変えるべきで、日本医師会とは別の新たな医師団体が必要と考えられていました。そこで私は本庶先生に、日本医師会の中に特別委員会をつくり、地域偏在等も含めて議論することを提案し、本庶先生に委員長になっていただきました。もう10年以上前の話です。
多田 21世紀医療フォーラムでの当時の議論は、いま医療が抱えるさまざまな課題を予見していたように思えます。私はその中で、我が国が取り組むべき喫緊の課題は、「高齢化」と「地域医療」への対策だと思います。

医療本来の役割は、「健康な社会をつくる」こと
横倉 医療本来の役割は何かというと、「健康な社会をつくる」ということです。まず、「高齢化」の問題ですが、これまでは、“命を助ける”ことが最大の目標でした。しかし2040年には、高齢者の割合が増えて人口の3分の1となります。その中で単に“延命する”、“命を長らえる”ことが正しいのかを考える必要があります。これからの日本は、「健康寿命を延ばす」、そして「人間の尊厳性」や「QOLを維持しての終末医療」を考え、日本における「医療の在り方」そのものを再構築する時期に来ていると思います。次に「地域医療」ですが、これからの医師、特に「かかりつけ医」は、常に患者さんや地域住民に寄り添う姿勢が重要になります。
多田 現在の医療は、単に患者数が増減するという問題ではなく、複数の疾患を抱えながら生活する患者が増えるという構造変化に直面しています。その中で、かかりつけ医は診療の担い手にとどまらず、地域の医療・介護・福祉をつなぐハブとしての役割が求められています。
一方で、その役割を個々の医療機関がすべて担うことは現実的ではなく、医療提供体制そのものを見直す必要があると考えています。これまでの医療は、医療機関ごとに機能が最適化される“点”の構造でしたが、これからは入院・外来・在宅といった患者の経過を起点に、“つながり”として医療を再設計していくことが重要になります。
そのためには、役割を集約するのではなく、一度分解し、それぞれの機能を適切に再接続するという発想が必要です。総合メディカルとしては、その中で企業が担うべき領域を引き受けることで、医療機関が本来の診療に集中できる環境を構築していきたいと考えています。
横倉 プライマリ・ケアを考える上で、かかりつけ医の役割は非常に重要であり、各地域に必要です。かかりつけ医は、多田さんが言うように、地域の医療・介護・福祉を束ねる「総合プロデューサー」ですので、診療の“入り口”から患者さんの代弁者として関わっていくべきです。また、日本は災害列島ですので、能登半島地震でかかりつけ医が地域医療の維持に貢献したように、災害が起きた時の機能も持っているべきです。さらに高齢化社会である現代では、かかりつけ医の役割として、普段の健康管理をしていくことも大切です。ただ、病院・診療所が数多く存在する大都会では、かかりつけ医の在り方を再考すべきだと考えています。

“企業ができること・すべきこと”を実装力で支援
多田 これまでの医療は、需要の増加を前提とした拡大モデルで発展してきましたが、人口構造の変化により、今後は再構成のフェーズに入っていくと考えています。人口減少や人手不足、財源制約が同時に進む中で、医療提供体制そのものの持続可能性が問われる局面にあります。
医療機関の先生方とお話をすると、「人材確保」と「運営」の課題が最も多く挙がります。特に、DXや業務効率化の必要性は認識されているものの、それを担う人材を個別に確保することは非常に難しいという声を多くお聞きします。
こうした課題に対しては、個々の医療機関の中で解決するのではなく、ヒト・モノ・ハコ(医療機関や薬局、在宅)を横断的に最適化していく必要があります。当社は、薬局、医療モール、開業支援、人材、在宅といった複数の機能を有しており、それらを組み合わせることで、医療機関単体では実現できない最適化を実装していきたいと考えています。
横倉 特に「地域医療」の中で新たに開業して、かかりつけ医機能を担う先生方、そして既存の開業医の先生方、地域密着型の中小病院に対する支援は大切です。開業支援、経営支援には具体的にどのように取り組んでいますか。
多田 開業支援については、土地や物件の選定、診療圏調査、事業計画の策定、資金調達、人材確保まで一貫した支援を行っています。当社はもともと、開業を目指す医師の初期費用負担を軽減するための医療機器リース事業からスタートしました。その後、開業支援で培った知見を生かし、開業後も診療圏の特性に応じた集患支援や経営改善支援など、医療機関の成長段階に応じた経営支援を行ってきました。
さらに、医薬分業の進展に合わせた調剤薬局事業や、売店・食堂・レンタルテレビなどの病院アメニティ事業、人材派遣事業へと領域を広げることで、病院に対しても経営や運営の両面から支援を行っています。こうした事業を通じて現場の実態を深く理解しているからこそ、単なるコンサルティングではなく、実際に機能する形での支援を提供できることが当社の強みです。

横倉 医師は経営については、素人である部分が多いと思いますので、調剤薬局から人材派遣まで、多くの領域で支援を行っている総合メディカルには、サポートを継続・強化して欲しいと思っています。また、医療の将来を考えた時、「医療機関の経営効率をいかにして上げていくか」が重要なテーマとなります。そこに企業のノウハウをうまく入れていけるようにしていただきたいと思います。
多田 これからの医療においては、医療機関がすべての機能を抱える構造から、役割を分担し連携する構造への転換が不可欠です。総合メディカルは、その中で“企業ができること・すべきこと”を実装する存在として、医療機関と協働しながら、地域医療の持続可能性に貢献していきたいと考えています。
第3回おわり。




