
Keynote Address
「新型コロナウィルス感染制御〜批判的吟味と提案」
講師: 福島雅典氏 京都大学名誉教授 21世紀 先端医療コンソーシアム主幹
福島先生:
タイトルは、Critical appraisals and proposalsです。最初に、重要な認識を共有したいと思います。

これは、トランプ大統領も言っていましたが、人類とウイルスの戦争です。なので、事実上の経済資源が総動員されています。だから覚悟してかからないとダメなのです。
我々の武器は科学なので、思い付きとかでやってはいけません。正しい実践が必要であり、そのためのストラテジーとオペレーションが大事です。では総合戦略本部は何を行っているのでしょう。それなりに一生懸命やっていますが、後手になっていることが否めないし、現場の臨床家の意見を聞いていないように思います。もう一つ重要なのが、進化論的文明史論的に見る必要があるという事です。これは、地球温暖化から起こるのかもしれない、前哨戦なのかもしれません。覚悟をしておく必要がある、進化的な考えもあるかもしれない。そういったPerspective な準備が必要になります。
まず、根本的な意味合いとしてCOVID-19は単なる風邪のウイルスという意見がありますが、その本質は伝染性気管支肺血栓症です。多くの医師がまだこれに慣れていません。イレッサの経験に習います。そして、無症状感染者が多いことがサイエンスのフロンティアになります。インフルと違い、熱などの症状がでず、ウイルスがなかなか死なないことによって、感染性が高く感染経路が多様になります。最後に、抗体が完全にできる前に、細感染してしまう恐れがあるということです。これらが、未だに突き止められていない事となります。
ここにあげた、歴史上の人物は私たちが生きる現代よりも、劣悪な環境で素晴らしい文学を残して来ました、このコロナ禍で私たちは、何を残せるのか問われているのかも知れません。
過去の病を遡ってみましょう、これは結核による死亡者の推移を表した図です。
年間に何万人という死者が出ました。当時、日本白十字会が新設され、結核予防法が公布されましたが、死者は伸びる一方。終戦を迎えるとワクスマンの指導のもとストレプトマイシンが導入され、理研が大量生産をし、劇的に死者数を下げました。しかし、実際には死者数が減衰しだしており、これは環境の改善や貧困から抜け出し、栄養状態が良かったことと考えられます。なので、結核は大気、安静、栄養、これは全ての病気に共通することです。
