福島 雅典 先生 講演のサマリー

 21世紀 先端医療コンソーシアム主催

オンライン緊急シンポジウム

「新型コロナ感染対策を問う~臨床からの提言」 

日時:2021年1月19日 (火) 19:00~21:00

会場(WEB会議発信スタジオ):21 世紀メディカル研究所(東京四谷)

プログラム

  1. 開会の辞

  2. 主催者挨拶:21世紀 先端医療コンソーシアム主幹

  3. Keynote Address :「新型コロナウィルス感染制御〜批判的吟味と提案」
    講師:福島雅典氏 京都大学名誉教授 21世紀 先端医療コンソーシアム主幹

  4. 講演1:「感染7段階モデルによる新型コロナ感染の見える化」講師:高橋泰氏 国際医療福祉大学大学院教授

  5. 講演2:「COVID-19の臨床現場より~何を考え、どのように対応しているか?~」講師:矢野邦夫氏浜松医療センター院長補佐

  6. ディスカッション「新型コロナ感染の収束に向けた臨床からの提言」座長:福島氏  パネリスト:高橋氏、矢野氏

                                        

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Keynote Address

「新型コロナウィルス感染制御〜批判的吟味と提案」

講師: 福島雅典氏 京都大学名誉教授 21世紀 先端医療コンソーシアム主幹

 

​福島先生:

タイトルは、Critical appraisals and proposalsです。最初に、重要な認識を共有したいと思います。

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これは、トランプ大統領も言っていましたが、人類とウイルスの戦争です。なので、事実上の経済資源が総動員されています。だから覚悟してかからないとダメなのです。

我々の武器は科学なので、思い付きとかでやってはいけません。正しい実践が必要であり、そのためのストラテジーとオペレーションが大事です。では総合戦略本部は何を行っているのでしょう。それなりに一生懸命やっていますが、後手になっていることが否めないし、現場の臨床家の意見を聞いていないように思います。もう一つ重要なのが、進化論的文明史論的に見る必要があるという事です。これは、地球温暖化から起こるのかもしれない、前哨戦なのかもしれません。覚悟をしておく必要がある、進化的な考えもあるかもしれない。そういったPerspective な準備が必要になります。

 

まず、根本的な意味合いとしてCOVID-19は単なる風邪のウイルスという意見がありますが、その本質は伝染性気管支肺血栓症です。多くの医師がまだこれに慣れていません。イレッサの経験に習います。そして、無症状感染者が多いことがサイエンスのフロンティアになります。インフルと違い、熱などの症状がでず、ウイルスがなかなか死なないことによって、感染性が高く感染経路が多様になります。最後に、抗体が完全にできる前に、細感染してしまう恐れがあるということです。これらが、未だに突き止められていない事となります。

 

ここにあげた、歴史上の人物は私たちが生きる現代よりも、劣悪な環境で素晴らしい文学を残して来ました、このコロナ禍で私たちは、何を残せるのか問われているのかも知れません。

 

過去の病を遡ってみましょう、これは結核による死亡者の推移を表した図です。

 

年間に何万人という死者が出ました。当時、日本白十字会が新設され、結核予防法が公布されましたが、死者は伸びる一方。終戦を迎えるとワクスマンの指導のもとストレプトマイシンが導入され、理研が大量生産をし、劇的に死者数を下げました。しかし、実際には死者数が減衰しだしており、これは環境の改善や貧困から抜け出し、栄養状態が良かったことと考えられます。なので、結核は大気、安静、栄養、これは全ての病気に共通することです。

小室 一成先生 インタビュー

日本の循環器診療、循環器研究のあり方を変える。 ~日本循環器学会代表理事を終えて 第2回

2020年11月18日

日本の循環器診療、循環器研究のあり方を変える。 ~日本循環器学会代表理事を終えて 第1

2020年11月18日

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では、ここで感染対策の基礎知識について覚えて下さい。これは厚労省のHPにもありますが、内容は①持ち込まない②持ち出さない③拡げないが基本です。では、具体的にはどの様に、行えばよいでしょうか。

 

まずは、感染経路を理解して頂きます。しかしその前に、インフルエンザについて考えます。現在、インフルエンザの感染者はかなり少なく、これはコロナ感染防止を目的に、手洗いやうがいを徹底しているからという意見があります。

 

これは、fact1インフルエンザの感染者数のグラフです。

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図からも分かるように、今から5年前の感染者数は低く、当時SARSはまだ無いのにも関わらず、2020年はそれ以上に少ない、やはり手洗いうがいやマスクの影響なのか、分からないです。

 

次に、fact2「COVID-19の感染者数、重症者数、死亡者数の推移」のグラフです。

今までと様相が異なります。一波、二波、三波となっています。二波が起きた後、何人かの医師は必ず三波が来るから安心してはいけないと啓発していましたが、解除した途端に三波は起きてしまいました。重要な値は、母数である感染者数で、重傷者数を感染者数で割って、死亡者数を感染者数で割ると、重傷者数は8.1から23に増えています。次に19に下がると、死亡者数は、5.2%で初めは凄い死亡者数だと考えましたが、1から1.7へと推移して行きました。しかし、ここではデータの正しい理解が必要です。このまま額面通りに死亡率が上がっていくのは正しいとは言えません、データ駆動型の社会になった以上、データの正しい解釈が必要です。

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これを、地域ごとに分けてみるとやはり、解釈が変わります。なぜなら地域ごとにグラフと推移が異なるからです。一つ具体例をあげてみましょう。例えば、北海道では重傷者数が減っているにも関わらず、死亡者数が増えています。なので、一概に先程のデータを鵜呑みにはできないのです。

 

では、世界ではどうでしょうか。ヨーロッパ、米国、日本、韓国は同じパターンになっています。中国は腕力で封じ込め、台湾は最初から賢く、オードリー・タンにより、リスクリターンをもとに適切な対応をしました。当時PCRは行っていません。

このように見ると、色々な疑問が湧いてきます。南半球はどうなっているのでしょうか。

このようなものです。

 

次に、新型コロナウイルスの生存期間についてです。インフルエンザウイルスが服に付着すると、約1日で死滅してしまいます。しかしコロナウイルスは、スマホの上で28日間生存していたことが海外の論文で発表されています。

 

日本の研究はどうなっているのでしょう。京都府立大学の論文に、人の皮膚上に存在す新型コロナウイルスの生存期間を解明というものがあります。これによって、SARS-CoV2とIAVと細胞培養地の混合物を様々な物体の表面上に塗布して安定性を評価することによって、接触感染による感染拡大のリスクが高いことが示されました。なので、家に帰って、髪を洗わないことや、風呂に入らない事によって感染リスクは高まります。

 

さらに、便からも出ることが分かっています。通常はエアロゾルに乗っかって、空気中の埃に付着し、感染するのでは無いかという疑いがありましたが、恐らく糞口感染を起こしていて、そこら中を汚染するのです。

 

このような、事実をまとめると無症状の感染者の割合はまだ完全には、把握されていません。なぜなら、PCR検査を国民全員が受けている訳では無いからです。しかし、受けている人数と陽性率を考えて、平均的に40%ほどが無症状の感染者と考えます。ここで、問題はウイルスを体の中で根絶せずに、便で排出したり、くしゃみで飛沫したり、それが発症後10日間もあります。発症4日間はピークです。具体的に次の図にまとめました。

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このように、見てみると感染経路が分かり、定期的な検査が必要なことが分かります。

 

次に、宿主要因です。感染症とはどういったものなのか。まず年齢、次に自然免疫です。これは、抗体が出来る前に良くなってしまうことが原因と考えられます。中国でも同じ事が言えて、コロナ感染の初期に、武漢で感染者が無症状なことが問題視されていました。

これについても日本の論文があります。藤田保健衛生大学のもので、ダイヤモンド・プリンセス号のクラスターの調査・研究です。この研究によると、無症状のPCR陽性から11人が発病してきた。こういったことがあるので、最初からPCR検査した人を登録しておいて、アウトカムでフォローすべきだと考えられます。これは、臨床研究の鉄則です。


 

全体をまとめると、死亡はごく少数です。ほとんどは感染無症状です。PCR陽性もいるし、陰性もいるので、結論は必要に応じて複数回の検査が必要であります。

 

無症状に関しては、抵抗力の本体はメモリーT細胞だと言われていますが、自然免疫でまだ突き止められていないものがあるかもしれない。そして、抗体ができない、あるいは非常に低いレベルであるのかもしれない。だから抗体検査で低い結果が出たとしても、あれはコロナでは無いと言い切れないのです。喉がイガイガする、頭痛がある場合には、静養が必要なのです。

 

大事なのは、待機、安静、栄養です

 

発症してから2週間で分離しますが、 PCRの陽性反応は続きます。ここで、北海道大学から重要なデータが出ました。唾液と鼻咽頭ぬぐい液での精度がほとんど90%。だから感度について心配することはないのが、このデータの結論です。しかも、自分の唾液をキッドに入れて検査して貰えるので簡単です。つまりPCR検査の普及が大事なのです。なので、北大の先生方に指揮を取って頂いて全国で実施すべきです。

 

さらに重要な論文が慶應大学から出ています。これはゲノムを解析しています。 PCRだけでは足りません。何が起きているのか分からずにウイルス対策は出来ません。そして、分かったことは、変異が大きいほど重症度が小さいのです。

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この図のように、東京だけでこれほど変異している。ここからもわかる様に一回のワクチンで治るのは、妄想だと私は考えます。

 

抗ウイルス薬で叩けば叩くほどウイルスは変異します。そこで大事なのが、重症化を防ぐ事です。

 

ここで、重症化因子を、全ての開業医の医師達がガイドラインを基に学ぶべきです。

医師会は徹底的にガイドラインを普及すべきだし、学会は全国一斉のテストをやるべきなのです。

 

ここに記入されていますが、重要なのは、症状がなくてもSao2(動脈血)酸素濃度が下がっている事がある、そうすると家に帰したら死んじゃっていたなんて事が起きるのです。

 

次にガイドラインが日中米で共通するのが、トロンボキサンのような血栓・抗血栓剤、そしてステロイドです。そこに日本の場合はトシリズマブなどが出てきます。そして、トシリズマブはI L6の薬です。阪大の岸本先生が見つけて開発したものです。それが重症化と一部に効果がある。サイトカインを抑える効果がある。

 

次に年齢別患者数と死亡リスクです。

ご周知のこととは思いますが、50代以上で重症化率が高いです。40代でも若干重症死亡者がおりますが、ほとんどは60代以上です。なので、はっきりしているのが、高齢者は自己管理をしっかりしましょうという事なのです。

 

そこで、国立感染症研究所から2,000件のデータを用いて5月と6月を境に劇的に変化しています。これは、高齢者の死亡者数や重症化が高いことを理解した結果によって、起きえた変化と言えます。但し、高い基礎疾患があると高い死亡率があると、5月31日前では半分に下がっています。この事実をよく見ないといけないのです。基礎疾患がある人は出歩かないという様な意識を持つと良いでしょう。

 

次に簡単に診療指針を取り上げましょう。

Sao2(動脈血酸素濃度)が一番重要な指標なのです。パルスオキシメーター、酸素濃度は簡単に指先のモニターで測れます。軽症、中等症ここが別れ目になるので、ちゃんとしなきゃいけません。具体的には、Sao2は一日3回測定しなきゃいけない、そしてリンパ球の低下が重要なので、簡単にわかります。ここで、早まってステロイドの使用は避けるべきです。中等症で呼吸不全があるかそこで判断します。呼吸不全があると重症化の恐れがあるので青、Sao2を93%を維持する事を心がけてください、そうすることでクリニカルパスを形成することできます。

 

では、次に特定機能病院や学生にこれらの事をしっかり学んでほしいので、提案をします。

まず、Universal quarantine 普遍的検疫です。具体的にいうと、空港、駅、インターチェンジ、公共施設で検疫を行います。無症状の感染者の同定と管理が必要です。

 

空路の場合を紹介します。まずスイスの場合は陰性の場合は出国を許可していますが、2週間は隔離しています。しかしこれでは、無症状の人を通してしまいます。

 

次に、Universal decontamination 普遍的汚染除去です。初めのうちは、誰もがそこら中を消毒していましたが、今では徹底しきれていません。換気の悪いところは、保健所が管理していけば良いのです。

 

次に、マイナンバーや保険証を用いて、個人の行動を管理する必要があります。

次のUniversal zoning 普遍的ゾーニングが一番重要で、医学の三つの基礎について、お話しします。リスク別のアプローチが必要です。

 

まず、Prevention 予防です。個人個人が気をつけ、各医師会に検診センターをやっていく事が重要で、地域単位でやる事が重要です。

 

次に、Diagnosis 診断です。感染者の予後因子を解析する必要性があります。ここで、PCR検査を受けた人を登録して、予後を検査していく事です。これは、臨床研究の鉄則です。

 

最後に、Treatment 治療これは、ガイドラインの徹底です。そして、患者登録とアウトカム評価の解析です。これによって、ラーニングヘルスケアシステムの確立を実現できます。

 

なので、COVID-19の専門診療センターを作ることが重要なのです。これは、自治体単位、東京都ならば、区単位で行うべきです。そこで、1日あたりの感染者数と重傷者数のデータをしっかり取ればいい、そこで、10万人あたりの感染者数が違いすぎます。なので、専門センターを作るのは、上位10都道府県でいいのです。

 

そして、東京都でも違いがあります。

 

ここで、施設のソリューションを一つ取り上げると、7583の廃校です。活用が決まっていないものがその中の20%もあります。これを活用すればいいのです。

 

他にも、ポータブルICUもあります。

 

そして、次に教育です。医師の行動変容を促すためには、国家試験に先ほどの診療内容を導入する事です。ガイドラインを徹底してマスターするように教育し、そして感染に対する過去の歴史、現在の対応を学ばせないといけません。

 

そして、抵抗力の確保です。これは薬やサプリではなく、食事、睡眠、運動、心の在り方など生活リズムを管理しなければなりません。体調の内観(心身状態を脳で観照する事)が大事なのです。

 

そして家では、換気、ホコリなし、湿度60%がキーとなります。

また、感染拡大防止の方策として、スロー、クリーン、エコを徹底しましょう。

 

感染防御三原則の徹底実施と総合戦略アプローチとして、医学研究成果の示すところを速やかに実践普及する。さらにその効果の検証と次の研究推進をすべく、以下の事を実践していく必要があります。

 

まずナレッジマネジメントです。一元的情報提供体制をとります。

 

次に、PDCAサイクルの適用推進によるアウトカムの恒常的向上をラーニングヘルスシステムの確立と稼働によって実現します。

そして、研究の戦略的推進です。研究拠点整備と強力な研究マネジメントの適用を行います。

 

最後に、日本の研究力について、紹介をします。論文数は少ないですが、先ほど紹介したような、重要な論文はあるので、しっかりと評価すべきです。

 

ご静聴ありがとうございました。

 

(了)